タ行/邦画

「出口のない海」2006

丁寧に製作された誠実な映画。神風特別攻撃隊に比して知られざる戦術兵器と言える人間魚雷・回天の存在。それを改めて知らしめる製作意図には意義があります。本作を観た若い世代が、少しでも60数年前の事実の重みを受け継いでいくのならば、1本の劇映画と…

「ちいさこべ」1962

かなり遅れてきた読者ですが、山本周五郎が好きです。時代小説はめったに読まないですが、滝口康彦と周五郎は別格。かつて黒澤明が周五郎作品の映画化に一貫してこだわったことはよくわかります。市井の視点を忘れない真摯なヒューマニズムが読むたびに沁み…

「大決戦! 超ウルトラ8兄弟」2008

「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」2006の成功を受け、2年ぶりの劇場用ウルトラマン。ユニークな快作。小さい子にも見応え満載。どこがユニークかと言えばこの映画、明らかに30代〜40代男性がターゲット。それはもう鮮明に。要するに小さな男の子を連れ…

「天然コケッコー」2007

昨年は、私の大好きな「リンダリンダリンダ」2005を撮った山下淳弘のあたり年。「松ヶ根乱射事件」の皮肉な面白さもよかったけれど、ストンと観る者の心に素敵なものを届けてくれたのは本作でした。 くらもちふさこの後期代表作を、「メゾン・ド・ヒミコ」20…

 「妻は告白する」1961

かつて大映がつるべ打ちした“監督:増村保造&主演:若尾文子”作品群の代表作。 TSUTAYAの邦画コーナーに増村作品がずらっと並んでいることに意外な嬉しさを感じています。好きなんです、増村保造。リアルタイムで接したのは高校時代に観た「曽根崎心中」。…

 「時をかける少女」1983

私がこの1年絶賛を惜しまない細田守版2006年作品に先立つこと23年。この年、この筒井康隆の傑作ジュヴナイルの実写映画化の決定版が、大林宣彦の手によってリリースされました。 「転校生」1982、「さびしんぼう」1985と共に“尾道3部作”を構成する本作は、…

 「時をかける少女」2006

昨年夏の公開時にテアトル新宿で観て絶賛してから1年近くが経過しました。早いものです。DVDで再見しましたが、私の評価は変わることはありません。絶賛に値します。極めて私的な評価に過ぎませんが。 私は何故、本作をそれほど評価するのでしょうか?ま…

「時をかける少女」2006

昨夏に評判だったこの作品、結局劇場公開は殆ど拡大できませんでしたが、その評価の高さが形になって表れ始めています。 さしあたり年末に3件の受賞が告知されました。 【報知映画賞:特別賞】【文化庁メディア芸術祭:アニメーション部門大賞】【第1回イン…