ハ行/邦画

「氷雪の門 樺太1945年夏」1974

終戦の年、8月15日を過ぎたにも関わらず樺太で起きた最後の地上戦。ポツダム宣言を受諾し無条件降伏をした日本ですが、8月23日頃まで他国の軍隊に領土を蹂躙され一般市民の殺戮が行われていた事実を、多くの日本人が知りません。本作は、樺太の悲劇の中でも…

「HOUSE」1977

今日様々な分野で閉塞感と衰退が語られますが、とっくの昔に日本映画はその気分を潜り抜けて来ました。1950年代後半の黄金期を過ぎた日本映画興行は、TV放送本格化とレジャー多様化の中で急速に衰退。栄華を誇った大手映画会社の撮影所システム、スター・…

「風林火山」1969

井上靖の原作を稲垣浩が映画化した大型時代劇。伝説の軍略家山本勘介を主人公に、武田信玄の快進撃とその挫折を描く。クライマックスの川中島はじめ有名な戦国物語。小柄で異形とも言われる策士勘介を演ずるは大スター三船敏郎。それは、歴史のリアリティを…

「冬の華」1978

当時既にTVドラマ脚本家として大御所だった倉本聰が、ファンである高倉健のために書き下ろしたオリジナルシナリオ。それを降旗康男が監督した東映映画。このトリオは1980年に「駅STATION」という傑作も生み出しましたがこっちもなかなか。私は大好きです。…

「ハッピーフライト」2008

劇場公開終了直前のタイミングに駆け込みました。ようやく観ることができた矢口史靖監督の新作。前頁で「ガチ☆ボーイ」をマイベストに挙げましたが、こっちも素晴らしい。知的なセンスと完成度という点で「ハッピーフライト」はずば抜けています。2本目のマ…

「緋牡丹博徒 お竜参上」1970

富司純子でもなく、寺島純子でもない。“緋牡丹のお竜”こと矢野竜子は、藤純子でなくてはならない。「緋牡丹博徒」1968に始まり「緋牡丹博徒 仁義通します」1972までの5年間全8作。やくざ映画というジャンルの中で唯一無二のヒロインとして、“お竜さん”は記憶…

 「豚と軍艦」1960

いかに巨匠、名匠といえど肌の合わない監督・作家というのはいるもので、私にとって故今村昌平監督とはまさにそういうお方でした。唯一リアルタイムで観た「復讐するは我にあり」1979の重厚さと壮絶さに素直な感動を憶えた他は、なかなかその作品世界に入り…

 「バトル・ロワイアル」2000

深作欣二監督の事実上の遺作。 故石井紘基議員が鑑賞規制を問題提起するなど、その暴力描写が話題になった話題作でした。確かに、本作のモチーフは殺し合いゲームという圧倒的な暴力を強制された理不尽下の中学生たち。極めて異常な状況を描く異端の創作であ…

 「フラガール」2006

王道だと思いました。これは、かつての所謂“松竹大船調”ではないでしょうか。 効率よい興行的成果と質的水準の確保を両立するために、稀代の名プロデューサー城戸四郎氏に代表される製作者たちが構築した、作品のトーン&マナー。それは撮影所システムという…

 「博士の愛した数式」2006

優れた小説を映像化することは、本当に難しいことだと思います。 この見事な見事な珠玉のような小説の映画版は、やはりその難しさを露呈してしまいました。 ただ、決して私は否定的に観た訳ではありません。この映画に関わった人々が、いかにこの原作を愛し…

 「武士の一分」2007

遅ればせながら劇場で鑑賞してまいりました。 「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」に続く山田本格時代劇3部作完結編。丹精込めて作りこまれた見事な作品になっていました。前2作と比較して明らかな違いがひとつあります。それは庄内の山河の風景が殆ど見…

 「パプリカ」2006

テアトル新宿にて、今敏監督の新作「パプリカ」を観てまいりました。 さすがは今敏。ハイクオリティの映像物語を魅せてくれました。 精神医療研究所で開発された他人の夢を共有できるテクノロジー“DCミニ”。それが何者かに盗まれ“夢のテロリズム”が研究所の…

 「博奕打ち・総長賭博」1968

生前の三島由紀夫が「映画芸術」1969年3月号で大絶賛した映画。ずっと観る機会に恵まれず、レンタルにも出ていなかった。DVD発売を知り予約していました。 博奕打ち 総長賭博 [DVD]出版社/メーカー: 東映ビデオ発売日: 2006/11/18メディア: DVD クリック:…