愛読書たち! 80年代の柴田昌弘

本棚をひっくり返してたら、しばらく忘れていた柴田昌弘のコミックスが出てきて・・・。
整理の手を止めて読み耽ってしまいました。

柴田昌弘。70年代に別冊マーガレットから出てきた異色の少女漫画家。

90年代以降は青年誌にシフトしてエロティック路線に行きましたが、まだまだ活躍されてます。
デッサンがシャープな上に近未来志向のテイストが常にアップトゥデイトされますので、いつ見ても古びないイラストなんですよね。


もっとも活躍していた時期にリアルタイムで読んでいました。
比較的メジャーな作品になったのが、「花とゆめ」に連載した『紅い牙 ブルーソネット』。


紅い牙ブルー・ソネットVol.3 [VHS]

紅い牙ブルー・ソネットVol.3 [VHS]


ただ、私はそのずっと前から愛読してたんですよね。
「紅い牙」シリーズだって、最初の読みきりの時から面白がってました。

※この人の作品、画像がアップしずらいんですよね。ちょっと後日工夫してみます。


柴田作品で私のお気に入りの短編がひとつ。
1980年の作品『盗まれたハネムーン』。



孤児でありながら明るさを失わない若き花嫁“あずな”は、ハネムーンの夜、突然現れた別の人格に支配され失踪してしまう。必死に彼女の足跡を追う夫は、出現した人格が彼女の母親のものであるらしいことを知る。しかも人格交代は一度では終わらず幾度も起きている。順番に世代を遡っている“あずな”の行く先は? そもそもこの現象の発端は何か?

ちょっと気の利いたSFミステリーの筋立てに、若い恋人たちの想いの強さを絡めてコンパクトに描いた佳作です。

当時の少女マンガの世界ではこうしたテイストは少数派。SFというと宇宙ファンタジーになりがちだった時代に、現代社会のリアリティを舞台にしたサスペンスを描き続けたのはユニークだったと思います。