「太陽を盗んだ男」 の見応えに飢える
気が付いたらここ暫く戦争映画に終始していました。
日記の印象が偏ってしまいそうですので、“戦争と映画”については別の枠組みでまとめてみることにします。
そこで本日は「太陽を盗んだ男」。
- 出版社/メーカー: ショウゲート
- 発売日: 2006/06/23
- メディア: DVD
- 購入: 9人 クリック: 160回
- この商品を含むブログ (215件) を見る
「太陽を盗んだ男」79年 長谷川和彦監督 沢田研二・菅原文太主演
この映画、公開からもう四半世紀も経てしまったんですね。
それでも、ここにある“見応え”というヤツは、全然衰えていないと感じるのは私だけでしょうか。
ひとりの若い中学理科教師が思い立って原発からプルトニウムを強奪。アパートの一室にこもって原爆を製作する。
特定のイデオロギーとは無縁の彼は、原爆を使って何をすればよいかに当惑しながらも、日本政府にとんでもない要求を突きつける。
彼を追う豪腕刑事とのデッドヒートの末、原爆と彼はどこに向かうのか? その結末は?
時を経ても、この映画のプロットの持つ魅力は輝きを失っていません。
未見の方は是非、ご覧になることをお薦めします。
多少のネタ晴らしをしますと、主人公の政府への要求とは“ローリングストーンズの日本公演の実現”。
さすがにこの部分だけは、今日的ではなくなっていますが、それ以外の描写は今年の最新作と言ってもまったく問題ないレベルです。
まったくこの映画の持つ力量は破格で、これといったジャンルに収まりきれません。
知的なアクションスリラーであり、自分探しの青春映画であり、アイドル映画であり、ポリティカルフィクションの匂いまで漂わせています。
当時の“ジュリー(沢田研二)”の存在感は格別でした。
今で言うと誰に匹敵するんでしょう?
似たようなタレントが見当たらないですねぇ。
そんな当時の旬のタレントを主役に据え、一方の主役にこれまた強烈な個性を放つ“仁義なき戦い”を経た菅原文太を対抗させ、とびっきりの魅力に富んだプロットを走らせる。
プロデュースの成功例としても見事なものだったと思います。
こんな面白い映画を撮った長谷川監督。この映画はデビュー2作目。(デビュー作も傑作「青春の殺人者」)
次回作は、当時誰もが待ち望んだものでした。
しかしながら今日に至るも、彼の3作目は実現していません。もったいない話です。