訃報あり。ベストテンあり・・・。

イタリアの名プロデューサー:カルロ・ポンティ氏の訃報が昨晩配信されていました。
94歳の大往生だったようです。奥様はあのソフィア・ローレン。私の大好きな映画ご夫婦でした。

ポンティ氏の製作作品は世界で親しまれた作品群。
フェリーニ夫妻の不朽の名作「道」1954
ピエトロ・ジェルミの「鉄道員」1956
ソフィア・ローレンに米アカデミー主演賞をもたらした「ふたりの女」1960
ゴダールの仏映画「軽蔑」1963
こんな映画も製作していたのか「ドクトル・ジバゴ」1965
私の大好きな「ひまわり」1970  etc…

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ハリウッドのタイクーンたちとも少し異なったスタンスで、大戦直後のイタリアン・ネオリアリスモ以後の、世界に通用する娯楽色豊かな芸術映画を生み出していった偉大な製作者。どの作品も、個性豊かな監督に自由に撮らせていながら、ちゃんと興行的にもヒットさせています。しかも、映画史や映画ファンの記憶に長く留められるものをです。その場限りのヒットでよいとは思わなかったのでしょうね。
ソフィア・ローレンという素晴らしい女優を発掘し、磨き上げ、妻にも迎えた羨ましい存在でもありました。

私はイタリアの地は知りませんが、芸術についての懐の深さは生半可な想像を超えているのでしょう。合掌。


閑話休題

恒例のキネマ旬報ベストテンが発表されていました。
高校生の頃は一生懸命チェックしていましたが、社会人になって以降は、毎年“ふーん”という感じで眺めるにとどまっています。

邦画のベスト3は、①「フラガール」②「ゆれる」③「雪に願うこと
洋画のベスト3は、①「父親たちの星条旗」②「硫黄島からの手紙」③「グエムル―漢江の怪物」
邦画は残念ながら未見ですが、評判の良い作品ですね。洋画の3本は全部観ています。

幼い頃は、評論家たちと同じように感じなければいけないのではないかと思ってたこともありましたが、そんなくびきはさすがに消えています。逆に、ちょっとした違和感がありますよね。

邦画のベストテンに、何故「時をかける少女」が入っていないの? アニメだから? 宮崎駿作品なら入るのに? 評論家と呼ばれる方々が偏見や権威主義に陥らずにいろんなものを観ているかというと?です。

洋画のベストワンが「父親たち…」になるのは何故? 確かに硫黄島2部作は力作でしたが、「硫黄島…」より「父親たち…」が上ですか? 国内の評論家や先進的な識者たちには、“国家権力にスポイルされる個人”を描くものこそ高尚な映画、という傾向がずっと続いています。確かにその視点で見れば、「父親たち…」の方がわかりやすいし、「グエムル」もそういうテーマが描かれています。
でもなぁ…、そんなのつまんなくないですか? それにベストテンに「007/カジノ・ロワイヤル」が入らないのは何故? 高品質の娯楽作は評価しないの? 本当に「グエムル」は「ブロークバック・マウンテン」より上ですか?


そんな風に、のどに小骨が刺さる感じが拭えないので、この手のものは精神衛生上あまり見ないようにしています。
劇場公開作はごくわずかしか観ていませんので、とてもベストテンなど選べません。
でも敢えて、邦洋1作ずつ挙げるとすれば…、「時をかける少女」と「カジノ・ロワイヤル」になります。


勿論「カジノ…」と「硫黄島…」は僅差です。「カジノ…」を観ているときのワクワク感が楽しいので、ちょっぴり上になりました。私は面白い映画が好きなのです。(もっともこの2本は単純比較の対象にしてはいけません。異なる地平に存在しているので)