“小さき勇者たち GAMERA”

“小さき勇者たち GAMERA”を鑑賞。


手放しで絶賛という訳にはいかないけれど、なかなかの秀作。
怪獣映画のフォーマットについて、改めて考えさせられました。

このジャンルのドラマとしての限界は、主人公の人間と怪獣との間に“個人的な”関係性が設定しにくいため、怪獣をめぐる騒動と主人公の周囲の物語が分裂並行して進行するか、あくまで怪獣騒動の傍観者としての主人公(狂言回し)として存在しがちなことです。
だから、人間ドラマとしての見応えはどうしても減殺されてしまい、ビジュアルのインパクトにこだわったマニアックな視点での楽しみに偏りがちなのです。

ただ、ジャンルの原点である「キングコング」を思い出してみれば、あの映画はヒロインとコングの関係性を物語の軸に据えることによって、単なる怪獣騒動記ではない主人公の切実なドラマとして成立していたことに思い至るはずです。
怪獣映画のフォーマットの原点は、そこにあったとも言える訳です。

「小さき勇者たち」はジュブナイルとしての視点を貫くことで、怪獣をモチーフにしながらも主人公のごく個人的な感情のドラマとしてきっちり成立していました。
特撮シーンのビジュアル(この映画、この部分のレベルも高い)以上に、主人公の表情が記憶に残る怪獣映画になり得た成果はあったのではないかと思います。

小さき勇者たち~ガメラ~公式ガイドブック (電撃ムックシリーズ)

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ガメラ・パーフェクト・ボックス―Concept of GAMERA

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