2010-01-01から1年間の記事一覧

「キングダム・見えざる敵」2007

私のように超ドメスティックな日常を過ごし、目の前の諸事ばかりに没頭していると、世界の現実に我が身を重ねることを忘れがちです。例えばサウジアラビアに生きる人々の現実を想像するなど思いもよりません。私も平和ボケした日本人のひとりと反省します。 …

「氷雪の門 樺太1945年夏」1974

終戦の年、8月15日を過ぎたにも関わらず樺太で起きた最後の地上戦。ポツダム宣言を受諾し無条件降伏をした日本ですが、8月23日頃まで他国の軍隊に領土を蹂躙され一般市民の殺戮が行われていた事実を、多くの日本人が知りません。本作は、樺太の悲劇の中でも…

「暗闇仕留人」1974 「必殺必中仕事屋稼業」1975

講談社から発売されている必殺DVDマガジン。レンタルに出てきづらい初期の必殺シリーズからキャラクターごとに2エピソードずつ抽出して廉価で販売。そうそうDVD-BOXなど買えませんのでこれは助かりました。お蔭で久し振りに再会できました。若き石坂浩二…

「2001年宇宙の旅」1968

BDプレーヤーとしてPS3を利用しています。これがなかなか良い画質。レコーダー機能は不要と割り切って使ってみると、ゲーム機のユーザビリティは明らかに家電メーカーの思想と異なります。こういう微妙な実感差異って、今起きつつある変化を認識する上…

「小暮写真館」2010

2ヵ月も更新をサボってしまいました。忙しかったこともありますが、書きたくなるネタに意外と出会わず、ちょっと不思議なブランクでした。さて、久し振りに読んだ宮部みゆきの新刊。「小暮写真館」。小暮写眞館 (書き下ろし100冊)作者: 宮部みゆき出版社/メ…

「七人の侍」1954

10代の頃、井上ひさし氏の作品はよく読みました。大人になってからは氏の主張のすべてを支持するという訳にはいかなくなりましたが、それでもエンタメとして文学として、常に高いレベルの描写を生み出し続ける力量とエネルギーには圧倒されてきました。 例え…

「火の魚」2009

とっくに絶望してたTVドラマですが、時に鮮やかな光を放つ作品に出会うことがあります。ここ1年ほどに観た劇映画を含む国産の映像劇で、私には最良の作品でした。 映画とTVドラマの差異は、もはや映像技術ではなく興行形態の違いしかないと思っています…

「アバター」2009

“筋立てが新しい訳ではない”といったコメントを多く見かけますが、そんなことは本作の本質ではありません。商業映画として観客がきちんと楽しみ感動を体験して劇場を後にするための定石というものは必要で、それをどれだけ新しい表現としてクリエイトするか…

「北国の帝王」1973

“男性的映画の巨匠”ロバート・アルドリッチの沢山の代表作のひとつ。長いこと“未だ観ぬ名作”として焦がれていました。リー・マービンとアーネスト・ボーグナインの二人主演。キャストだけで最高濃度。硬派この上ない映画として評判通りのアクションでした。 …

「怪獣大戦争」1965

私が劇場で観たおそらく3本目の映画がこれ。実際には最初の公開から何年か経って“東宝チャンピオンまつり”のために短縮編集された「怪獣大戦争・キングギドラ対ゴジラ」を観ています。 怪獣映画としての質はそう高くない作品です。「三大怪獣・地球最大の決…

「東のエデン」2009

劇場版は未見なので、ここではTV放映分全11話についてのみ言及しています。 商業映像コンテンツは往々にして見事に時代の気分を内包するもので、プロダクションIGで神山健治が作り出した本作はまさに該当する作品でした。羽海野チカのキャラ原案や、謎め…

「HOUSE」1977

今日様々な分野で閉塞感と衰退が語られますが、とっくの昔に日本映画はその気分を潜り抜けて来ました。1950年代後半の黄金期を過ぎた日本映画興行は、TV放送本格化とレジャー多様化の中で急速に衰退。栄華を誇った大手映画会社の撮影所システム、スター・…