2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

 「なごり雪」2002

Photoすべて(C)PSC・TOS.E.P・大映 万人受けに何ら執着することなく、気に入ってくれるひとにだけ大切にそっと手渡してくれるかのような1本です。大林宣彦監督作品の持つ、非リアリズムの魅力がわかる観客への贈り物。監督自身が自らの21世紀を本作から始め…

 「フラガール」2006

王道だと思いました。これは、かつての所謂“松竹大船調”ではないでしょうか。 効率よい興行的成果と質的水準の確保を両立するために、稀代の名プロデューサー城戸四郎氏に代表される製作者たちが構築した、作品のトーン&マナー。それは撮影所システムという…

 「時をかける少女」2006

昨年夏の公開時にテアトル新宿で観て絶賛してから1年近くが経過しました。早いものです。DVDで再見しましたが、私の評価は変わることはありません。絶賛に値します。極めて私的な評価に過ぎませんが。 私は何故、本作をそれほど評価するのでしょうか?ま…

 「選挙」2007

フィルム収録でなくデジタルビデオですので、正確には“映画”と言い難いかもしれませんが、ベルリン・香港はじめ各国の映画祭に招待されていますので、映画の範疇に入れてもよいのでしょう。 今月、渋谷のイメージフォーラムで公開されています。今後順次国内…

 「夏への扉」R.A.ハインライン(1957)

学生の頃に大いに面白く読んだ記憶があります。四半世紀を超えて再読しました。 本作の主人公ダンは、2つの方法で30年の時を超えるのですが、今回の再読においてもそれに近い時間の経過があった訳です。タイム・トラベルもののスタンダードといえる小説です…

 「衝動殺人 息子よ」1979

シナリオライター山田太一氏のキャリアの原点が故木下恵介の助監督だったことは大切な事実です。1998年12月30日に逝った木下恵介の葬儀にて、山田氏の弔辞より抜粋。「日本の社会はある時期から、木下作品を自然に受けとめることができにくい世界に入ってし…