「劇場版デジモン・アドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」2000

kaoru11072007-11-15

ようやく観ることができました。「時をかける少女」2006で名を上げた細田守監督の劇場作品出世作。“デジモン”シリーズ自体は未見でしたが、そんなことは大した支障ではなく堪能できます。確かに見事な中篇映画でした。

面白く手に汗握って燃えられるストーリー。日常のほんの裏側に驚愕の非日常が潜んでいるセンス・オブ・ワンダー。地に足のついた日常感覚から立ち上がる仄かなギャグ。“画”と“絵”の持つ美しさと象徴性、リアリティとマンガチックの組み合わせの妙。
それらが40分の上映時間に極めて贅沢に、わかりやすく、美味しく詰め込まれています。これを見逃していたことを大いに悔やみます。

ネット上のプログラムのバグの集合体から小さな“デジタル・モンスター(デジモン)”の卵が誕生した。それに気づいた少年・太一と光子郎の目の前で卵は孵化し、世界中のデジタル・データを食べ成長する凶悪なデジモンとなってネット上を蠢き始めた。太一らは、それを退治すべく仲間のデジモンであるアグモンとテントモンをネット世界に送り込むが、敵は急速に進化して太刀打ちできない。やがてこの凶悪な敵は、NTTの電話回線を制圧し首都圏の様々なシステムに異常を与え続ける。太一たちはさらに仲間を集め対抗しようとするがうまくいかない。やがて敵は米国ペンタゴンのサーバーに潜り込みゲームと称して核ミサイル一基を誤発射させる。核弾頭の起爆まで9分間。その事実を知りえた少年たちだけが世界を救うための必死の闘いをネット上に展開する・・・。


怪獣チックに擬人化(擬獣化?)してありますが、本作のモンスターはコンピュータ・ウイルスの象徴とも言えます。ネット上の架空空間に存在するモンスター。ネットに遊ぶことができる少年たちだけがそれを見つけられ、自らの仲間とできたり、邪悪な敵として認知できたりという寓話の形態です。
公開から7年を経ていますので、ブロードバンド前夜的なネット環境であることが微笑ましくもあります。2000年は未だ小学生の日常に携帯は装備されてなかったのだった、とすぐ近くの昔を振り返るのも一興です。そんな感覚に溢れた、極めて現代を表現した映像映画でもある訳です。

時かけ」2006の演出の原点めいた部分も散見され、なかなか興味深くもあります。とにかく細田演出の繊細さと大胆さにはワクワクさせられます。本当に面白かった!

本作を観た、今をときめく村上隆氏が、ルイ・ヴィトンの店頭プロモーション映像に、細田監督を抜擢したのは有名な話です。2003年のことだったと聞きます。その映像が観たいものとおもってましたら、ちゃんとYouTubeに出てました。いや大したものです。この映像も可愛くて面白くて、その映像センスの良さには本気で惹かれてしまいます。「スーパーフラットモノグラム」という作品です。



お子さま向けアニメと馬鹿にして、ジブリ・ブランドばかりに囚われていると、本当の価値あるものを見失いますね。