ア行/邦画

「悪魔の手毬唄」1977

またしても市川崑です。1960年代に既に日本映画の巨匠となっていた市川監督が、70年代半ばから急に大衆娯楽ミステリーを手がけます。しかも原作は横溝正史の金田一耕助もの。当時は松本清張に代表されるリアル社会派推理が映画原作としても主流で、江戸川乱…

「あゝ決戦航空隊」1974

“特攻の生みの親”と称された海軍中将大西瀧次郎。「仁義なき戦い」で勢いに乗った豪腕シナリオライター笠原和夫が彼に焦点を絞り込んで描いた渾身のシナリオを山下耕作が監督した大作。海軍将兵が皆ヤクザに見えるとか、東宝の「日本沈没」大ヒットに続けと…

「男はつらいよシリーズ」1969〜1995

気がつけば第一作目が公開されて40周年。私は決して熱心な観客ではなかったが、平均的な日本人観客と同じ程度にはこのシリーズが好きでした。もっとも吉岡秀隆演ずる甥っ子の満男を軸に据えた後期作品群には足が向きませんでしたが。 その程度の鑑賞者であっ…

「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」1975

“寅さん”全作で、最も好きな作品がこれ。あまりにも語りつくされたこのシリーズで、おそらく頂点に位置している出来栄え。そう確信します。 今更ストーリーを云々する必要もありませんし、このシリーズの妙味を語る気もありません。ただ、映画が制作されるに…

 「阿片戦争」1943

京橋の国立近代美術館フィルムセンターにてマキノ雅広特集が組まれています。太平洋戦争真っ最中の昭和18年公開の大作「阿片戦争」を観てきました。いわゆるコスチュームプレイの形式です。登場人物は中国人と英国人しかいない訳で舞台は広東。それでもすべ…

「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」2006

“ウルトラマンシリーズ生誕40周年記念作品”として昨年放映されたTVシリーズの劇場映画版。単体の文芸作品としての質感はともかく、長きにわたって少年たちのアイドルであり続けているキャラクター系譜のイベント映画としての完成度を追及しています。 “現…

「赤ひげ」1965

3時間5分という長尺でありながら、飽きたり間延びしたりすることの全くない見事な出来栄え。黒澤明監督全作品中、ある意味最も完成度の高い映画だろうと思います。所謂チャンバラ=殺陣がない時代劇でこれほど面白く観られる作劇はそうそうありません。 1962…

「赤い鯨と白い蛇」2005

神田神保町の岩波ホールにかかっていた時に関心がありながら、そのままにしていました。DVDでようやく鑑賞。 日本テレビのドラマ・ディレクター、芸術祭女とも呼ばれたせんぼんよしこ氏の、初めての劇場用映画監督作品。これはなかなか素敵な映画でした。…

 「あしたのジョー2」1981

私たちの世代の男たちの多くにとって「あしたのジョー」という物語は、記憶の中で独特の位置を占めていると思います。 最初に刊行されていた講談社コミックス全20巻は幾度読み返したのか、ちょっと数え切れません。そういう人は決して珍しくないと思っていま…

 「駅 STATION」1981

名TVドラマライター倉本總が高倉健のために書き下ろしたオリジナルシナリオ。美しく厳しい北海道の四季を背景に、オリンピック射撃代表経験ある若くはない警察官と関わった人々との苦く切ないエピソードを連ねた作品。突き放した叙情とでもいうような、大…

 「英霊たちの応援歌 最後の早慶戦」1979

ドライでスタイリッシュな表現と、戦争体験へのこだわりを貫いた孤高の個性派:岡本喜八監督作品。 作品群の中では比較的地味な存在ですが、リアルタイムで接した経験から私的には大事な映画です。某王子の存在で、ここ40年くらいの間で最高の盛り上がりを見…

 「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」1983

名優 藤岡琢也の訃報。またひとり、昭和の俳優が去りました。 殆どの活躍の場がTVでしたので、比較的若い人も知っていると思います。晩年は橋田ドラマの常連でしたし・・・。 例えば「太陽にほえろ!」における鮫島刑事シリーズ、また例えば“サッポロ一番”の…